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筋膜リリースとは?

T・W・マイヤースとアナトミー・トレイン

筋膜リリースとは、筋肉を包む膜組織「筋膜」の癒着を解放する事で、筋膜に包まれている筋肉のコリを取る手技療法の事です。この筋膜リリースは一部では、カイロプラクティックに組み合わせられていたり、オステオパシーの中の一部に組み込まれたりして、特にアメリカなどでは昔から存在していた手技療法です。

比較的最近、日本で筋膜リリースが注目される様になった大元は、トーマス・W・マイヤース(以下T・W・マイヤース)が提唱した、筋膜および筋膜リリースの新理論である「アナトミー・トレイン」であると思います。解剖学的という意味のアナトミー、列車という意味のトレインを合わせた造語になります。

T・W・マイヤースは世界各国でセミナーなどを開催し、筋膜リリースのテクニックの部分が伝えられていますが、特に日本に於けるアナトミー・トレインの筋膜リリースの多くは、むしろ、その新理論を元に個々の施術家レベルで試行錯誤、開発されて、提供されている状況であると思います。この事は私自身に於いても同様です。

以上、既述しました様に、筋膜リリースのやり方は様々にあると思いますが、ここでは、アナトミー・トレインの理論的な概要について記述していこうと思います。

発生学

発生学とは、受精卵から生体が完成するまでの過程を説いた学問の事です。受精卵から細胞分裂が発生しますが、この細胞分裂の発生の初期段階で重なり合う2つの球体を形成します。やがて2つの球体は縦穴を形成して、2つの重なり合うドーナツ状の球体となります。この縦穴の一方は将来の消化管となり、もう一方は将来の脊柱管となります。消化管とは口から肛門へ続く食物が通る管であり、脊柱管とは中枢神経である脊髄を通す管です。前面に消化管、後面に脊柱管、そしてその2つを頂点で繋いでいるのが頭部、すなわち頭蓋骨です。細胞分裂の発生初期の段階で既に将来の身体の基本構造が出来上がっているという訳です。

細胞分裂は初期の頃には、自分と同じ細胞をコピーしてつくっていきますが、段階を経ていくと、細胞分裂の時に、自分とは違う細胞をつくっていきます。骨、筋肉、内臓、血管、神経。身体を形成する為には様々な細胞が必要ですので、この様に自分とは違う細胞に変身しながら分裂していく必要があります。この現象を分化と呼びます。

細胞分裂と分化により、人間の身体は、様々な細胞、器官を形成していきますが、同時に、その様々な細胞、器官をひとまとめにした構造的、そして機能的な集合体も形成していきます。ですので発生初期に出来上がった、2つの重なり合うドーナツ状の球体と、それらを繋ぐ頭部は、生体が完成した時にも、前面の組織と消化管、後面の組織と脊柱管、それらを繋ぐ頭蓋骨として存在します。

これらは発生学の観点からいえる、個々の組織や器官が、構造的、機能的な繋がりを持つ集合体を形成し、その集合体が更に繋がり合って、身体は繋がり合う1つのユニットである事を示しています。

身体の内部で繋がり合う集合体の中には、主として複数の筋肉、そして複数の骨、靭帯を1つの膜「筋膜」で包み、構造的に、機能的に繋がっている「筋膜複合体」があり、別名を「筋膜ライン」といいます。そして複数の筋膜ラインの構造、機能の連鎖を解明する新理論がアナトミー・トレインです。

テンセグリティー構造

筋膜に包まれた、筋肉や骨は、身体を保持する役割があります。T・W・マイヤースは、身体は灯台ではなくヨットであるといいました。これは、身体を保持する為の構造と機能を例えています。灯台は固形物のみで形成され自身を保持しています。ヨットのマストは、固形物であるマストと、マストに取り付けられている軟性物質のワイヤーによって保持されています。結果、マストは自身を保持すると同時に、外力に対して柔軟に形を変えて、外力の衝撃を緩和させる事が出来ます。ワイヤーの保持する働きは、張力によるもので、形を変える働きは、軟性によるものです。この様に、固形物と軟性物質の組み合わせで形成され、保持と柔軟性を両立させる構造の事を「テンセグリティー構造」といいます。

そして、アナトミー・トレインで説明される筋膜複合体、筋膜ラインは、テンセグリティー構造であり、身体もまた、テンセグリティー構造です。

解剖学的列車

アナトミー・トレインとは既述の様に「解剖学的列車」という意味になります。列車が走る路線図に見立てている筋膜理論がアナトミー・トレインという訳ですが、路線図では、路線が複数あり、また乗換駅では分岐、合流、交差したり、区間によっては、別の路線に乗り入れる列車もあるでしょう。これは、複数の筋膜ラインの走行ラインに例えています。更に立体的なイメージを加える為に、ソーセージに例えてみると、ソーセージに詰められている中身が、筋肉や骨であり、1つ1つのソーセージを包んで繋げている皮は筋膜であり、それらが一体となって筋膜複合体、筋膜ラインとなります。身体の中でソーセージのラインが、複数存在していて、路線図を形成しています。

筋肉単体に着目してしまうと、構造も機能も限定的になります。その単体の筋肉の伸び縮み。その筋肉がまたいでいる関節の曲げ伸ばし。また機能障害、例えば筋肉が短縮して固着すれば、その筋肉と、筋肉がまたいでいる関節の動きの低下、そして痛みの原因や、手技療法のアプローチも含めて着眼点が限定的になります。

筋膜ラインに着目すると、構造も機能も連鎖的、連動的になります。運動する時には複数の筋肉と関節が連動するはずです。筋膜が短縮して固着すると、筋肉も短縮して固着します。この筋膜のしわによって、筋膜に包まれた空間は狭くなります。小さいサイズの服を着た時に身体が窮屈になって、動きにくい、疲れやすいといった事が起こるイメージです。また筋膜の一部にしわが出来ると、遠くの筋膜を引っ張り、別の筋肉の領域にも、筋膜による空間的な制限や動きの制限が出ます。ズボンの裾を引っ張ると、ズボンのウエスト部分も引き下げられ、骨盤の辺りが締め付けられる様なイメージです。或いは筋膜全体が短縮して固着している場合は、筋膜に包まれている複数の筋肉も短縮固着している状態で、これは例えばサイズの小さいウエットスーツを着た時に身体が全体的に窮屈で、動きにくく、疲れるといったイメージです。痛みなどの症状の原因や、手技療法のアプローチも含め、着眼点も連鎖的、連動的になります。

以上の様にアナトミー・トレインに基づく筋膜リリースは、筋膜に包まれた筋膜複合体、筋膜ライン、そして複数の筋膜ライン同士の、構造的な連鎖、機能的な連動を回復させる為の筋膜リリースであるといえます。これはライン施術と呼ばれたりしています。

以上、アナトミー・トレインに基づく筋膜リリースの概要について展開してみました。アナトミー・トレインの各種、筋膜ラインの詳細についてはまた、都度、書いてゆこうと思います。

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