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カイロプラクティックとは?

D・D・パーマーとカイロプラクティック

D・D・パーマー
D・D・パーマー

カイロプラクティックの発祥の地はアメリカ。創始者はダニエル・デヴィッド・パーマー(以下D・D・パーマー)。時は1895年の事です。

カイロプラクティックとは直訳すると「手の技」となりますが、英語ではハンドプラクティスとなります。実はカイロプラクティックという名前は、英語ではなくギリシャ語による造語です。

D・D・パーマーは、自身の開発した手技療法に名前を付けるべく、友人であるサミュエル・ウィードという、語学に精通した牧師さんに相談した所、ギリシャ語で手という意味を持つ「カイロ」、技という意味を持つ「プラクティック」を合わせて「カイロプラクティック」という名前はどうかと提案され、D・D・パーマーはこの名前をとても気に入ったそうです。こうしてカイロプラクティックという名前は生まれ、カイロプラクティックという手技療法は長く、困難な道を歩き始め、今尚、進化、存続し続けています。

First patient

ハーヴェイ・リラード
ハーヴェイ・リラード

カイロプラクティックの最初のクライアントとなったのはハーヴェイ・リラードといわれています。

リラードはある時、背骨に負担となる様な無理な姿勢を取った時に、背中に違和感を覚え、その後に聴覚が失われ耳が殆ど聞こえなくなったそうです。

D・D・パーマーによる、リラードへのカイロプラクティックのアプローチは、それから約17年後。

パーマーはリラードの背骨を検査していた時に、不自然に後方に隆起している椎骨を見付けました。椎骨とは背骨を形成している一つ一つの骨の事です。この「ズレた椎骨」を「元の位置」に戻せば聴力が回復するかもしれない。その事をリラードに説明し説得して実際のアプローチに入りました。

パーマーは、リラードを診察ベッドの上にうつ伏せに寝かせ、ズレた椎骨に手を置き、元の位置に戻す様に、素早く動かしました。このアプローチにより17年間失われていた聴覚が回復し、耳が聞こえる様になったというエピソードです。

部分と全体、相反と包括

 前述のD・D・パーマーによるリラードへのアプローチは、カイロプラクターにとっては有名なエピソードですが、神経学的に異を唱えられる事もあります。

それは、背骨を通る神経である脊髄神経と、耳の神経である脳神経は直接的には繋がっていないという見地から。

しかし、神経的な繋がりが、直接的には無くとも、間接的に機能的に繋がり影響し合っていると自身は考えています。加えて、神経以外の各組織も構造的に直接的そして間接的に繋がりがあります。トップページでもお書きしました様に、繋がり合う1つのユニットです。

神経回路の、ある部分が、骨、関節の歪みにより圧迫を受けると、その部分の電気の流れが滞り、尚且つ神経回路全体にも影響が及び、圧迫が解除されれば、部分の電気の流れが回復し、全体にも好影響が及ぶ。

また組織の、ある部分が歪めば、組織全体へ歪みの影響が及び、部分の歪みが整えば、組織全体にも好影響が及ぶ。

端的にはこの様なイメージです。

さてパーマーの時代には、まだ神経学を含めた解剖学、生理学、病理学、薬理学、そして外科学等は、まだ殆ど構築されていませんでした。その様な事情から

も、このパーマーとリラードのドラマチックなエピソードが大きくクローズアップされたのかもしれません。

現在に於いては前述の様な、解剖学などの近代医学が大きく進歩して、医学の主流として闊歩しています。組織の構造や機能を全体的な繋がりとしてではなく部分的に着目し、また有害であると判断した部分は、実際にメスによって切り取り、症状を投薬によって抑え込む。この様な理論と手法のみが主流となる事には、やはりリスクがあるのではないでしょうか。

部分を見ながら全体も見て、相反しながらも包括する試み。この事が重要であると自身は考えています。

イネイト理論

さてパーマーによるカイロプラクティックのお話に戻ります。パーマーはリラードの背骨の「ズレた椎骨」を「元の位置に矯正」しました。「ズレた椎骨」によって滞っていた「生命エネルギー」は「元の位置に矯正」する事で全身を流れ始め、自らの「生命エネルギー」によって自らの身体を治癒させ、その結果、リラードの聴力も回復されました。

D・D・パーマーの時代、カイロプラクティック草創期の説明ではこの様な感じになります。

ここに専門用語を当てはめてみますと

「ズレた椎骨」は「サブラクセーション」

「元の位置に矯正」するアプローチは「アジャストメント」

「生命エネルギー」は「イネイトインテリジェンス」

となります。

「サブラクセーション」とは、ある部分の椎骨のズレによって、イネイトインテリジェンスの流れが滞っている場所。結果として自らの治癒する力を発揮できない原因となっている場所です。

「アジャストメント」とは、適切な状態へ調整するという意味を持ち、カイロプラクティックでは、サブラクセーションを矯正するアプローチの事で、言い換えると、ズレた椎骨を、矯正方向に動かすアプローチの事です。

「イネイトインテリジェンス」とは、正確には「内なる叡智」の事で、生きていく為のエネルギーであり、自らを治癒させるエネルギーの事です。このイネイトインテリジェンスは第一頚椎の辺りの内部より湧き出て、背骨の内部を通り、全身を巡ります。このイネイトインテリジェンスを流す力をイネイトフォース、若しくはメンタルインパルスと呼びます。

この様にイネイトインテリジェンスありきの理論体系を「イネイト理論」または「イネイト説」と呼んだりします。

B・J・パーマーとターグルリコイル

B・J・パーマー
B・J・パーマー

D・D・パーマーはカイロプラクティックの生みの親とすると、そのご子息であるバートレット・ジェスト・パーマー(以下B・J・パーマー)は育ての親といえるかもしれません。カイロプラクティックの発展に貢献し、後世に多大な影響を残したカリスマでもあります。

D・D・パーマーと理論や手法に於いて対立する部分も大きかったといわれていますが、サブラクセーションへのアジャストメント。イネイトインテリジェンスが生命のエネルギーであり、自らを治癒させる。この事に於いては共通するでしょう。

B・J・パーマーは、第一頚椎のサブラクセーションが究極のサブラクセーションであり、他のサブラクセーションは補完しているに過ぎないと考えました。つまり第一頚椎がズレる事により、それ以外の椎骨がズレて、第一頚椎のズレを補っていると考え、また医師の立会いのもと実験し、その事を証明したとされています。

主要となる一次的なズレと、それに伴う二次的なズレ。前者をメジャーサブラクセーションと呼び、後者をマイナーサブラクセーションと呼びます。メジャーサブラクセーションを矯正すると、マイナーサブラクセーションは矯正しなくとも、自然と自動的に矯正されていくという事になります。

B・J・パーマーは第一頚椎が唯一のメジャーサブラクセーションであると考えました。究極のサブラクセーションというのは、こういった意味合いになります。その意味で、第一頚椎を矯正するテクニックであるターグル・リコイルは究極のテクニックであるともいえます。

また生命エネルギーであるイネイトインテリジェンスは、既述の通り、第一頚椎の高さの、内部から発せられると考えられていました。この場所を源流として背骨の内部を通り全身にゆき渡ります。第一頚椎がズレると、イネイトインテリジェンスの源流が阻害され、背骨全体、身体全体に影響し、生命エネルギーが低下し、自ら治る力も低下します。第一頚椎の矯正は、イネイトインテリジェンスの源流の阻害を、解放、改善し、後は自らの治る力によって、自らの身体を治していきます。これはすなわち、自然治癒力に他なりません。

現代風に捉えるとイネイトインテリジェンスの流れは、神経伝達に置き換えると分かりやすいかもしれません。そして第一頚椎の高さの内部には生命維持装置の延髄があります。神経回路は電気回路、延髄は制御装置に相当します。

脊柱マニピュレーションとディバーシファイドテクニック

さて皆さんがカイロプラクティックと聞いてイメージするのは「背骨をボキボキッと鳴らすアレね?」という感じだと思います。背骨を操作してボキボキッと鳴らす「脊柱マニピュレーション」と呼ばれる手技はD・D・パーマーがカイロプラクティックを創始する遥か以前の古来からありました。尚、脊柱マニピュレーションという言葉は、広い意味で使われていますので、ここでは「古来からある脊柱マニピュレーション」という意味で使用します。

脊柱マニピュレーションでは、検査や、場所の特定、精密な操作、理論的な根拠などが無く、個々の身体、個々の状態によって、効果があったり、効果が無かったり、或いは事故が起こったり、それらの結果に対する理論的な説明が付けられない。または逆に、アプローチの前に、目的を持たせる事が出来ない、結果の予測が出来ないといった、粗雑な側面があります。

脊柱マニピュレーションと対比して、D・D・パーマーの創始したカイロプラクティックの違いは、検査、場所の特定、精密な操作、理論的根拠が有るという事です。

検査では、サブラクセーションの場所の特定と、ズレている方向をリストアップします。これを「リスティング」と呼びます。

精密な操作は「アジャストメント」になりますが、カイロプラクティックでは原則として、下位の椎骨を規準、固定し、その1つ上位の椎骨のズレをリストアップ、矯正します。これを上位椎の原則といいます。また、固定する椎骨のみに接触し、一方では操作する椎骨のみに接触する。この1対1の接触を「スペシフィックな接触」と呼びます。そして操作するのは、1つのズレている骨、言い換えると、1つのズレている関節です。ターゲットとなる椎骨を、矯正方向へ、ある程度の、高速、そして低振幅によって操作します。

理論的根拠は、この場合ではイネイト理論となります。

D・D・パーマーがカイロプラクティックを創始した頃、既に存在しており、尚且つ、現在も含めカイロプラクティックにも組み込まれている関節操作に「ディバーシファイドテクニック」があります。多種多様なテクニック、という意味ですが、ディバーシファイドテクニック = カイロプラクティック、であると誤認する事には大きなリスクがあるだろうと思います。この多種多様なテクニックの中には、前述の様な粗雑な脊柱マニピュレーションも含まれています。皆さんがイメージするであろう「背骨をボキボキッと鳴らすアレね?」は実は殆どが、このディバーシファイドテクニックです。複数の椎骨、関節を高速で、高振幅、そして捻じる動きで操作する。これは非常にリスクが大きく事故の元になります。

反面、全てを否定出来ません。重要な事は一連のアプローチの中に検査、場所の特定、精密な操作、理論的な裏打ちが有るかどうかという事です。

神経根圧迫理論

時系列でご説明致しますと、カイロプラクティックの理論的な側面に於いて、イネイト理論の後に出てきたのが神経根圧迫理論です。

ただしカイロプラクティックの歴史では、理論的側面、或いはテクニックの面に於いても、時系列で古いものが、新しいものに取って代わり、古いものが消えていくという形態にはなっていません。根源的な考え方はリスペクトと共に残り、新しいものが派生し広がっている、といった感じです。様々な分野に於いて良くある構図かもしれません。ですので単純に時系列によって優劣は付けられないでしょう。

この先、理論的側面について時系列で大まかに書いていこうと思います。

神経根圧迫理論は、椎骨の歪みによって制限されるのは神経伝達であるという理論です。脳と脊髄は、両者ともに中枢神経ですが、便宜上、分けてご説明しますと、脳は電気回路の制御装置とします。背骨の中を通る脊髄は電気回路の回線の束。この回線の束が背骨の外に出ると1本1本の回線になります。この1本1本の回線が末梢神経です。1本1本の回線は動作部に繋がり、ある場所では水を送るポンプを回し、ある場所では電球に明かりを付けます。このポンプは、血流を回す心臓を始めとした内臓であり、電球は、燃焼しエネルギーを出す、細胞であり組織です。

制御装置→回線の束→1本1本の回線→動作部分

これらは身体に於いては

脳→脊髄→末梢神経→内臓、組織、細胞

となります。これらは電気の流れ、電気信号ですが、この様に中枢から抹消へ流れる事を遠心性といいます。

神経根圧迫理論では、椎骨のズレによって、遠心性の神経伝達が阻害され身体の不調に繋がると考えます。阻害される場所は、脊髄から末梢神経に移行する場所です。もう少しピックアップしてみますと

脊髄→神経根→末梢神経

となります。神経根とは、末梢神経の根本と考えてください。どの高さにある椎骨がズレたのか?により、電気信号が阻害される、神経根や、その先にある末梢神経の場所、また不調が起こる、内臓、組織、細胞の場所が異なります。

ズレた椎骨の矯正によって、神経根で阻害されていた電気信号が正常に流れ、その先にある末梢神経を流れる電気信号も正常に流れ、内臓、組織、細胞の不調が改善されてゆくという考え方です。言い換えると、脳が神経回路を通して身体を治癒させるという事で、これもまた自然治癒力の一端であるという事になるでしょう。

神経根と椎間孔

前項でお話ししました神経根は、脊髄と末梢神経の移行部に位置しますが、高速道路に例えると、本線からインターチェンジに続く分岐線に相当します。本線は背骨の内部にある脊髄で、分岐線は背骨の出口で、その先の下道は末梢神経になります。背骨の出口には椎間孔という穴が開いていますが、この穴は下の椎骨と上の椎骨の間に位置し、下の椎骨の半円の穴と、上の椎骨の半円の穴が合わさって、円状の穴になっています。下の椎骨と上の椎骨がズレると、半円同士がズレて、いびつな形状で狭くなった円が出来上がります。すると、その円状の出口を通る神経根が圧迫されるという事になります。ここまでは前項の補足になりますが

後に一部、異論となったのが、解剖学的に、神経根の断面積に対して、椎間孔のキャパシティが十分に大きく、椎骨同士が如何に大きくズレたとしても、椎間孔が神経根を圧迫する事は無いという見地です。

しかしながら、椎間孔という穴は空洞ではありません。気体ではなくて、そこに存在するのは液体や固体であるという事。間接的に圧迫する原因となり得るという事ですが、もう一つは、ズレた椎骨の周囲の筋肉組織が短縮、若しくは伸長し神経根の周囲の神経を圧迫し得るという、自身の見解です。

カイロプラクティックが結果的に有効である事の裏には、治効機序があります。治効機序というのは、何故、治癒するのか?という事を理論的に説明したものです。理論の前に、真実ありきだと思いますが、人体は勿論の事、カイロプラクティック等の手技療法は奥が深く、その奥の深い真実の証明の為、様々な試行錯誤、研究結果として、様々な理論、治効機序があるのだろうと理解しています。

フィクセーション理論

これまでの理論では、椎骨、関節がズレる事に着目しています。ズレるという事は椎骨や関節の位置関係が変わるという事です。この位置の変化の事を「変位」と呼びます。サブラクセーションとは、椎骨、関節の変位によるイネイトインテリジェンス、若しくは神経伝達が阻害される場所、状態の事を指します。

一方、より新しいフィクセーション理論では、変位した椎骨、関節の動きが悪くなる事に着目し、この「可動性低下」の事を「フィクセーション」といいます。検査法では、各レベルの椎骨を実際に動かし、可動性低下が起こっている方向、つまり矯正方向を見極めます。これを、動的触診 = モーションパルペーション

、といいます。フィクセーション理論では、このモーションパルペーションが非常に重要な検査法となります。また、可動性低下が起こっている方向、つまり矯正方向へ断続的に動かして、可動性を回復させる方法を「モビリゼーション」といいます。

イメージ的にあえてわかりやすくしてみますと、多くの場合、可動性低下の方向は、変位の逆方向になります。変位の逆方向が矯正方向。そして可動性低下の方向が矯正方向となり、結果的に矯正方向は一致します。このケースに当てはまらないこともありますが、ここでは除外します。

続いて、椎骨、関節の可動性低下を考える時、関与してくるのが関節をまたぐ筋肉の存在、関節をまたぐ筋肉の一方が長くなり、一方が短くなります。この部分は手技療法の目的を参照してみて下さい。短くなった筋肉は、長時間経過すると、筋肉の内部に「トリガーポイント」と呼ばれる、筋肉の比較的小さな領域に異常に収縮しているポイントが現れ、周囲に痛みを飛ばします。また、筋肉全体が短くなった状態に順応して伸びにくくなっている状態になります。この様な筋肉の状態を「筋スパズム」と呼びます。

骨、関節のフィクセーションと、筋肉の筋スパズムにより、関節と筋肉の動きが悪くなり、機能が低下する。この「筋関節機能不全」の事を「MJD」といいます。MJDとはMyo joint dysfunction(マイヨ ジョイント ディスファンクション)の略語で、カイロプラクティックの仕事は、「MJDの解放」であると、フィクセーション理論ではいえます。

ディスアファレンテーション理論

ディスアファレンテーション理論は、フィクセーション理論をより発展させた理論で、フィクセーションや筋スパズムによる筋関節機能不全、によって起こる不具合を説明した理論であるといえます。

「ディスアファレンテーション」とは「求心性神経入力不全」の事で、求心性とは末梢から中枢へ向かう神経伝達の事です。既述の様に神経根圧迫理論では遠心性の神経伝達に着目していましたが、ディスアファレンテーション理論では、その逆の、求心性の神経伝達に着目しています。求心性神経入力不全ですから、求心性の神経伝達が滞る事で起こる不具合についての理論展開になります。

まず身体の固有覚「プロプリオセプション」と固有感覚受容器「プロプリオセプター」についてお話ししましょう。プロプリオセプションとは、自身の身体が自身の身体であるという立体感覚で、これは関節に当てはめると位置感覚であるといえます。目を閉じていても肘が伸びているのか曲がっているのか感知できます。曲がっているのであれば90°くらいなのか45°くらいなのかを感知できます。この感覚がプロプリオセプションであり、プロプリオセプションのセンサーとなっているのがプロプリオセプターです。プロプリオセプターは骨と骨を繋ぐ関節包に密集しています。特に、背骨の関節である脊椎関節の関節包はプロプリオセプターの密集地帯です。身体にはプロプリオセプションとプロプリオセプターが必要不可欠で、特に脊椎関節には重要となります。もしもプロプリオセプションが無くなったとしたら、自身の身体の存在を感知できずに空中に目だけが浮かんでいる様な状態となり、立っている事すら出来ません。

さてこのプロプリオセプションもまた神経を流れる電気信号であり、この神経伝達は求心性です。ここで述べている求心性神経入力不全とは、主としてプロプリオセプションの入力不全の事です。求心性の神経伝達では、より重要度の高い電気信号を脳に流すように、脊髄の内部で交通整理するゲートがあります。痛みの信号を侵害刺激といいますが、侵害刺激とプロプリオセプションを比較すると、プロプリオセプションの方が、より重要であると、脊髄のゲートで判断され、結果、侵害刺激はストップ、または一部、減少されプロプリオセプションが優先的に脳へ送られます。痛みという感覚は、侵害刺激が脳で痛みに変換され、初めて「痛み」という感覚になります。脊髄のゲートで侵害刺激が一部、足止めをされて脳に上がってくる信号が減少すれば、その「痛み」は減少し、完全に足止めされていれば、その「痛み」は無くなるという訳です。カイロプラクティックの関節操作等により意図的に、脊髄のゲートをコントロールする事を「ゲートコントロール」といいます。

プロプリオセプションを脳に正常に流す為の条件は、関節や筋肉に、歪みや短縮、固まりが無く正常に機能しているという事。そして日頃から適度に関節や筋肉を動かす事です。

逆に関節や筋肉が、歪み、短縮、固まりによって、可動性低下、機能不全が起こればプロプリオセプションの正常な流れが減少し、結果として痛みの元である侵害刺激が脳に上がりやすくなります。すると身体がかかえている痛みが発現し、あそこが痛い、ここが痛い、といった様に痛みに対する感受性が上がってしまいます。

さてこの場合、痛みがあるから安静にしようと関節、筋肉を動かさないでいると更にプロプリオセプションの流れが低下し悪循環となります。必ずしも安静が良いとはいえず、むしろその事によって痛みは増大してしまう理由の一端がここにあります。

トリガーポイントと関連痛

プロプリオセプションの入力不全による痛みの増大に続き、トリガーポイントが引き起こす痛みの波及についてお書きします。トリガーポイントは既述の様に、筋肉の比較的小さな領域に出来た極度に収縮しているポイントで、「痛みを別の場所に飛ばす引き金点」という意味合いがあります。トリガーポイントが引き金となって、別のポイントに痛みが出ます。この時の痛みを関連痛といいます。また、痛みという感覚が出ている場所では、交感神経が活性化して筋肉を収縮させます。

交感神経とは自律神経の1つで心身共に緊張状態をつくる神経回路であると理解して下さい。

トリガーポイントが、別の場所に関連痛を飛ばし、その場所では交感神経の活性化により、筋肉が収縮。新たなトリガーポイントが発生し、また別の場所に関連痛を飛ばします。

例えてみると、水面に放たれた水平に飛ぶ石の様です。石は水面を何度か蹴りながら、その度に波紋を広げていきます。石を投げる人がトリガーポイント、石が起こす波紋が関連痛です。これがトリガーポイントと関連痛による痛みの波及です。

この様にトリガーポインが飛ばした関連痛によって、その場所に新たなトリガーポイントが発生し、その状態が持続すると、前項でお話した様に、やがて、その場所にも筋スパズムとフィクセーションによる可動性低下、機能不全が起こります。するとプロプリオセプションの入力不全により、痛みの感受性はより上がり、交感神経はより活性化し、悪循環となります。

以上が痛みの増大と波及のメカニズムです。

固有覚障害と自律神経性付属障害

脳は身体の状態をモニターし、統合し、適正な状態を保つようにフィードバック制御している制御装置です。求心性のプロプリオセプションは脳の一部である、小脳と視床へ向かいます。また、プロプリオセプションが正常に流れ込む事により小脳や視床は活性化され、正常に機能します。フィクセーションや筋スパズムによる可動性低下、機能不全により、プロプリオセプションの流れが滞ると、小脳や視床は低活性の状態になり、正常に機能しなくなってゆきます。小脳や視床は、身体の立体感覚や、関節の位置をモニター、統合、適正化するフィードバック制御を担っている制御装置ですから、正常に機能しなくなると、身体の立体感覚、関節の位置感覚が鈍くなり、更には、関節、筋肉を使った動作が上手く出来ないといった不具合が起こってきます。これを固有覚障害といいます。自身の人差し指で自身の鼻を正確に触る事が出来るでしょうか?これが出来るのはプロプリオセプションと小脳、視床のフィードバック制御の正常な働きがあってこそです。

また、脊椎関節の周囲の軟部組織の侵害刺激により、延髄や視床が刺激される事によって起こる、発汗や吐き気、動悸や息切れ、心臓病の様な胸部の痛みなど。これを自律神経性付属障害といいます。軟部組織とは、骨以外の柔らかい組織の事を指しますが、例えば筋肉や靭帯、関節包や椎間板です。

病院の検査等では異常が見付からない、身体の不具合、これを不定愁訴といいますが、良く見聞する自律神経失調症なども、この不定愁訴に当たります。加えて前述の固有覚障害や自律神経性付属障害もそうです。

MJD、プロプリオセプションの入力不全、トリガーポイント、関連痛、交感神経の活性化、フィードバック制御の狂いによる固有覚障害、自律神経性付属障害を包括した、不定愁訴の理論的説明と、カイロプラクティックによる治効機序の全容がディスアファレンテーション理論です。

以上、主にカイロプラクティックの歴史と理論的側面にスポットを当てて、その概要を展開してみました。また、都度、詳細を書いてゆこうと思います。

 オステオパシーとは?筋膜リリースとは?

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