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痺れ

感覚神経の圧迫と血流の阻害による痺れ

痺れは、感覚神経と血管の圧迫により、神経伝達と血流が阻害される事によって起こります。感覚神経の圧迫による痺れとして、比較的多く遭遇、或いは見聞するケースは、背骨の周囲での圧迫によって腕、脚が痺れるケース。具体的には頚椎の椎間板ヘルニア脊椎症による腕の痺れ、それから腰椎の椎間板ヘルニアや脊椎症による脚の痺れです。これら感覚神経の圧迫による痺れには感覚麻痺が伴う事があります。皮膚を直接爪で引っ掻いた時に、まるで厚手の衣服の上から引っ掻いた時の様に、本来、鋭い感覚として感知するところを、鈍い感覚の様に感知したり、或いは無感覚になったりします。血流の阻害による痺れとして、比較的多く、そして身近に遭遇するケースでは、正座した時、または正座した後の脚の痺れです。正座の習慣がある日本では、よく経験する感覚であると思います。このケースは一過性ですが、筋骨格系の歪み、アンバランスによるケースでは慢性的になります。これら血流の阻害による痺れにも、やはり感覚麻痺が伴う事があります。

感覚神経の圧迫と伸長による痺れ

背骨の周囲で感覚神経が圧迫される事による痺れ、感覚麻痺について詳細をお書きします。背骨の周囲とは具体的には、背骨の出口である椎間孔(ついかんこう)に存在する神経根の圧迫です。背骨の内部の縦穴を走行している神経は中枢神経の脊髄で、この脊髄から分岐して背骨の外部に出ていくと末梢神経となります。この末梢神経の根本が神経根で、背骨の出口である椎間孔に存在します。この出口は骨に存在する円状の穴ですが、この穴は上の骨と下の骨の間に存在し、上の骨の半円の穴と下の骨の半円の穴が合わさって円状の穴となっています。上の骨と下の骨の位置関係が狂うと穴の形が崩れ、穴に収まっている神経根が圧迫され、神経伝達が阻害されます。これがカイロプラクティックで説明される神経根圧迫理論です。神経根圧迫理論は、痺れという症状を限定的に説明するものではないですが、ここでは、例えば、この様な関節の歪みが起こる状況下で、筋肉などの軟部組織が短縮して固まったり、伸長して固まったりして、この様な筋肉などの緊張が感覚神経を絞扼(こうやく)する事で痺れが起こるとイメージして下さい。絞扼とは絞め付けるという事ですが、感覚神経を手でギュッと握ってる状態をイメージして下さい。感覚神経は特に伸長される事で痺れが出ます。感覚神経を両手で握って引っ張ってる様なイメージです。この状態は、例えば筋肉や筋膜の伸長固着によって起こります。実際には感覚神経に起因する痺れの原因は、このケースが多いだろうと推測しています。もう1つの原因として圧迫癒着という現象を付け加えます。圧迫癒着とは神経根が椎間孔で、上の骨と下の骨がつくる円状の出口の所でくっ付いてしまう現象です。これは結合組織という体内にある接着剤によります。隣接している組織で、動きが少ない場所、または老化などによって起こり易いです。例えば家庭などの電気配線で多少引っ張っても配線のたるみによってフリーに動く為、配線自体にかかる伸長力が逃がされますが、どこかで結束バンドなどで固定された状態で引っ張ると配線にかかる伸長力を逃がせずに、つっぱってしまうイメージです。圧迫癒着と、筋肉、筋膜の伸長固着。これもまた痺れの原因となるでしょう。

それから他のケースでの感覚神経の圧迫、および絞扼の原因は、椎間板ヘルニアのヘルニア塊によるものと、脊椎症の骨棘によるものがあると思います。しかし画像所見によって椎間板ヘルニアや脊椎症であっても無症状であるなどの、画像所見と実際の症状の食い違いのケースと、もしくは画像所見と実際の症状が一致していたとしても、別の原因を推定して手技療法によって改善するケースが多数存在する事を考慮すると、定説的で限定的な診方、アプローチのみでは無理があるでしょう。

脊髄神経

背骨を構成する1つ1つの骨が椎骨で、24個の椎骨で構成された背骨、これが脊椎です。脊椎は首、胸、腰の分節で分けると、それぞれ頚椎、胸椎、腰椎となります。腰椎の下には仙骨があり、頚椎の上には後頭骨があります。それぞれの骨と骨の間に存在する関節が脊椎関節です。そして、それぞれの骨と骨の間には、脊髄から分岐した末梢神経を通す椎間孔があります。ここでは椎間孔と、椎間孔に存在する神経根にスポットを当てます。上から順番に、まずは後頭部の骨である後頭骨があります。これをOCCといいます。Occipital bone(オシピタル ボーン)の略です。その下に頚椎があります。頚椎には上から順番に番号が付けられています。上から第1頚椎~第7頚椎です。これをC1~C7といいます。CはCervicai Spine(サービカル スパイン)の略です。その下に胸椎があります。上から第1胸椎~第12胸椎です。これをT1~T12といいます。TはThoracic spine(ソラシック スパイン)の略です。その下に腰椎があります。上から第1腰椎~第5腰椎です。これをL1~L5といいます。LはLumbar spine(ランバー スパイン)の略です。その下に仙骨があります。これをSと略します。Sacral(セイクラル)の略になります。

そして、それぞれの高さにある椎間孔から出る、神経根および神経根から伸びる末梢神経にも記号と番号が付けられています。上から順番に、OCCとC1の間から出る神経、つまりC1の上から出る神経がC1神経です。次いでC2の上から出る神経がC2神経、という具合に順番にC3神経~C7神経となります。次がややこしいのですが、C7とT1の間から出る神経、つまりT1の上から出る神経はT1神経と間違いやすいですが、これがC8神経になります。頚椎は7つであるのに頚椎から出る頚神経は8つになります。椎間孔および神経根は左右にある為、8対あります。その下にあるT1とT2の間から出る神経、つまりT1の下から出る神経がT1神経です。次いでT2の下から出る神経がT2神経、という具合にT3神経~T12神経となります。胸椎から出る胸神経は12対あります。その下にあるL1とL2の間から出る神経、つまりL1の下から出る神経がL1神経です。次いでL2の下から出る神経がL2神経、という具合にL3神経~L5神経となります。腰椎から出る腰神経は5対あります。その下にある仙骨には椎間孔ではなく、仙骨孔(せんこつこう)という穴が、4対開いており、この仙骨孔から出る神経が上から順番にS1神経~S4神経で、仙骨の下部から出る神経がS5神経です。仙骨から出る仙骨神経は5対あります。今回は割愛しますが更にその下には尾骨神経が1対あり、これを合わせて脊髄神経は合計で31対あります。更にそれぞれの神経は分岐と合流をして名前を変えますが今回は省略します。

デルマトーム

脊髄神経には運動神経、感覚神経、自律神経が含まれますが、痺れや感覚麻痺を起こすのは、感覚神経への圧迫、そして伸長です。そして、それぞれの領域から出た脊髄神経、そして感覚神経が、それぞれ対応する皮膚感覚を支配している領域を「デルマトーム」といいます。脊髄神経とデルマトームはエレベーターとビルのフロアの関係性に似ています。各フロアで降りた神経は、降りたフロアを支配しているといった具合に、脊髄神経が椎間孔から出た高さと、皮膚感覚の支配領域の高さが大まかに一致します。

さて、臨床の中で、痺れという症状の多い部位は、腕、そして脚です。脊髄神経、感覚神経の圧迫、伸長による腕、脚の痺れでは、大まかに腕の痺れは頚神経と胸神経、脚の痺れは腰神経と仙骨神経が関わっています。以下に脊髄神経の各レベルの圧迫、伸長によって起こる、痺れ、感覚麻痺の領域をお書きします。手のひらを前面に向けた立位を想定して下さい。

まずは腕の痺れ、感覚麻痺の原因となる脊髄神経は

 

・C5神経 上腕の外側。

 

・C6神経 前腕の外側、これを橈側(とうそく)といいます。それから親指と人差し指。

 

・C7神経 中指。

 

・C8神経 薬指と小指。それから手のひらの小指側、これを尺側(しゃくそく)といいます。

 

・T1神経 前腕の内側、これも尺側といいます。

 

・T2神経 上腕の内側、それから胸部の前面と背面にかけて。

 

脚の痺れ、感覚麻痺の原因となる脊髄神経は

 

・L2神経 太ももの前側から前内側にかけて。

 

・L3神経 太ももの前側から膝の内側にかけて。

 

・L4神経 太ももの前外側から、膝の前側、すねの前内側にかけてと、足の親指。

 

・L5神経 太ももの外側から、膝の外側、すねの前外側と、足の人差し指、中指、薬指。

 

・S1神経 太ももの後外側から、膝の後外側、ふくらはぎの後外側にかけてと、足の小指。

 

・S2神経 太ももの後内側から、膝の後内側、ふくらはぎの後内側にかけて。

 

※注 デルマトームは文献によって多少の差異があります。

感覚神経の癒着、圧迫、伸長による痺れ

腕、脚の痺れ、感覚麻痺の原因となる、脊髄神経および神経根の圧迫癒着の解放には、カイロプラクティックのアジャストメントやモビリゼーションなどは有効です。カイロプラクティックのアジャストメントや、モビリゼーションは、関節の位置異常の矯正や、関節の固まりによる可動性低下を解放する事以外にも、結合組織、つまり身体の内部の接着剤によって、神経組織が骨組織にくっ付いてしまっている圧迫癒着を解放する事が出来ます。これは手の親指と人差し指が糊でくっ付いてしまった状態を解きほぐし、引き離す事に似ています。ですので、物理的にくっ付いてしまっている場所は、遠隔からのアプローチで取り切れない事が多々あります。例えば糊付けされた親指と人差し指は、首を操作しても離れません。その場所の癒着を解放する必要があります。この様な癒着は一次的な原因であるといえます。ただし、症状は、その場所に現れるという事ではありません。この場合もやはり症状と原因が食い違う事は多々あります。神経は線で走っている為、圧迫癒着の起こっている神経の線上に痺れが出たり、その神経の支配領域、すなわちデルマトームの領域に痺れが出ます。

次に神経が圧迫されながら伸長する状況は、筋肉や筋膜によって起こります。筋肉や筋膜が伸長して固まっている場合、その筋肉、筋膜の内部にある神経は圧縮されながら伸長しています。また、神経の圧縮と伸長は、その神経を取り囲む筋肉、筋膜の短縮固着によっても起こります。筋肉、筋膜の短縮固着では一見、伸長する力が働かない様に思えますが、短縮固着は、この短縮固着側に筋肉、筋膜を引き寄せます。ある1つの線上のA点とB点に短縮固着がある場合、A点とB点の間には伸長固着が出来ます。紐を左手と右手でギュッと握り、左手と右手を引き離す方向に引っ張ると、たるんだ紐は伸長します。左手と右手はA点、B点であり短縮固着。伸ばされた紐はA点、B点の中間点であり伸長固着です。この様に筋肉と筋膜の伸長固着と短縮固着によって、神経は圧縮され伸長します。神経への圧縮と伸長が痺れ、感覚異常に繋がるという事です。この場合の一次的な原因は短縮固着であり、必要な操作は短縮固着した、筋肉、筋膜の解放で、例えば筋膜リリースなどです。

また、神経根の圧迫癒着と、筋肉、筋膜の短縮固着、伸長固着が連動する事もあります。この場合は、イメージとしては、ある1つの線上のA点に圧迫癒着があり、B点に短縮固着があり、A点とB点の間が伸長している状態で、これは、接着剤で、どこかに接着された紐を握って引っ張っている状態です。神経はやはり圧縮、伸長され、痺れ感覚異常に繋がります。アプローチは、カイロプラクティックのアジャストメント、モビリゼーション。加えて筋膜リリースなどです。

血流の阻害による痺れ

血流の阻害による痺れも、やはり腕、脚に起き易い症状です。脊髄神経、感覚神経に起因する痺れは、デルマトームの様に、神経支配領域に出ますが、血流に起因する痺れは、もう少し全体的にアバウトに出ます。例えば、腕が全体的に何となく痺れる、といった具合です。血流の阻害となる原因の1つは、筋肉や筋膜の固着です。血流の場合は、短縮固着、伸長固着のどちらも血管を圧縮し、血流の阻害の原因となります。この場合も、筋膜リリースは有効で、リリースするのは筋膜の短縮固着です。また、筋肉を動かす事によって起こるミルキングアクションによっても血流は回復し、筋肉の固着の原因の1つである、カルシウムイオンなどの化学物質を流す事により固着の解放が望めます。ミルキングアクションという名前は牛の乳しぼりから来ています。握ったり離したりする事でポンプ作用を起こし、ミルクがしぼり出されます。同様のポンプ作用によって血流を促すという訳です。ミルキングアクションは自身の意思で自発的に動かす自動運動によっても起こりますし、自身は脱力状態で、施術者に動かしてもらうなどの他動運動によっても起こります。前者はセルフケアの一環として使う事が出来、後者は手技療法の一環として使う事が出来ます。より効果が大きいのは後者の他動運動、手技療法によるミルキングアクションです。

その他に血流の阻害による痺れの原因の1つに骨格系の歪みがあります。腕の場合ですと、鎖骨と、第1肋骨の間にある胸郭出口(きょうかくでぐち)という空間が狭くなる事などです。この胸郭出口には、腕に向かう動脈である鎖骨下動脈と、腕から戻ってくる静脈である鎖骨下静脈が通っています。大まかに鎖骨が下がり、第1肋骨が上がる事で胸郭出口が狭くなり、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈を圧迫し、腕の痺れ、感覚麻痺の症状に繋がります。また、胸郭出口には頚部と腕を繋ぐ腕神経叢(わんしんけいそう)という神経の束が通っている為、神経の圧迫に起因する痺れも起こり得ます。血流に起因する痺れ、神経に起因する痺れが併発し易いという事です。この様な症状を胸郭出口症候群といいます。アプローチとして、カイロプラクティックの鎖骨や第1肋骨のアジャストメントやモビリゼーションが有効です。また比較的近隣の骨、関節では、第2肋骨、上部胸椎、下部頚椎へのアジャストメント、モビリゼーションなども有効です。

脚の痺れに於いては、股関節の歪みによっても、脚への血流不足、痺れ、感覚麻痺は起きやすくなります。脚へ向かう動脈である腸骨動脈や、脚から戻ってくる静脈である腸骨静脈は、股関節内旋位で圧迫を受けやすく、その結果、血流不足となり易く、脚の痺れ、感覚麻痺、そして浮腫みや疲労感を起こし易くなります。股関節内旋位とは内股の事で、股関節を内股に締めると、ガスのコックを締めてガスが流れなくなる様に、下半身への血流、下半身から戻ってくる血流が上手く流れなくなるとイメージして、内股癖にならない様に注意する事は有効です。アプローチとしては股関節への、カイロプラクティックのアジャストメント、モビリゼーションが有効です。

また、股関節との関連性のある関節、骨として、仙腸関節、足首の特に距骨(きょこつ)という脚の土台となる骨、すねの外側にある腓骨(ひこつ)、膝関節、肩関節などへのアジャストメントやモビリゼーションが有効です。

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